ヴィータ◆ムジカーレ◆オペラ第18回公演
歌劇「蝶々夫人」(マダム・バタフライ)全三幕
イタリア語原語上演 和訳字幕スーパー付き G.プッチーニ作曲
指揮・演出/もりてつや.
演奏/ヴィータ◆ムジカーレ◆管弦楽団 & オペラ合唱団
出演者/羽山弘子・野田ヒロ子・森明子・藤井美雪・藤田卓也・枝川一也
明治時代の長崎を舞台とした名作悲劇 歌劇『蝶々夫人(マダム・バタフライ)』オペラ作曲家G.プッチーニの円熟期の作品で、日本の旋律「お江戸日本橋」「さくらさくら」「君が代」や「アメリカ国歌」などが盛り込まれており、世界中の歌劇場の重要なレパートリーで聴衆から愛されている作品。
『愛の二重唱』『ある晴れた日に』『手紙の二重唱』『花の二重唱』『ハミングコーラス』『さらば愛の巣よ』『さよなら、坊や』など心揺さぶられる聴き所や涙ポイントも満載。
主人公蝶々さんは一時的な結婚とは知らず、純粋な愛を胸に米国人と結婚式を挙げる。
米国人であろうとするため改宗して親族に絶縁された苦悩…。
たった一人の理解者だと思っていた夫の米国への帰国。
人は蝶々はもう捨てられた…と噂するが、必ず自分の元へ帰ってくると信じて待ち続ける。
「待つ」という行為が自分が正妻である証として自身のアイデンティティを保つことが出来ていた…。
礼砲が港に轟き夫の船が帰ってきた。しかし実際に対面したのは本妻であった…。
すべてを悟る蝶々。
米国人になることも、日本人、芸者に戻ることも叶わなかった。
唯一『母』としての存在すらも手放さなければならない…。
『武家生まれ』の存在として、名誉の為に死を選ぶ。
強い精神を持った日本女性の心情と取り巻く人物の心理描写。是非お見逃しなく!
■あらすじ
1850年代 明治時代の長崎。港が見渡せる丘の上の小さな日本家屋。
【第一幕】
米国海軍士官のピンカートンとまだ15歳の蝶々さんは結婚式を執り行う。親族や友人らが集い祝福や噂話で、皆が浮足立っている。現地妻を目的としたこの行為に、米国領事のシャープレスは忠告をするが若い士官は一時的な物でも真剣な愛だ、と聞く耳を持たない。一方、純粋な愛から先祖代々の信仰からキリスト教に改宗し米国人の妻になろうとする蝶々。その改宗に怒った叔父の僧侶が怒鳴り込み、絶縁されてしまう。悲しむ蝶々を、ピンカートンがなぐさめ二人の結婚生活は始まった。
【第二幕】
長崎での任務を終え米国に帰ってしまったピンカートンを待ち続け早三年。「ある晴れた日に、彼は必ず帰ってくる!」と彼の帰りを信じて待つ蝶々。実際には米国で正妻を迎えたピンカートン。ある日、領事シャープレスが真実の書かれたピンカートンからの手紙を携え、蝶々を訪ねる。しかし、彼の帰国後に生まれた息子の存在を知り、逆にそのことをピンカートンに伝える約束をし、真実を語れずその場を去る。そのとき、港に礼砲が…蝶々は港にピンカートンの軍艦を見つけ、「私の愛が勝ったのよ、私の所へお帰りになったわ」と喜びに崩れ、部屋中を花びらで飾り、一晩中彼の帰りを待つ。
【第三幕】
夜明け。小鳥のさえずりとともに日が昇る。女中のスズキが蝶々さんを子供と共に休ませる。その後ピンカートンとその妻ケイトが領事シャープレスに付き添われて訪ねて来る。領事はスズキに、蝶々さんへ子供を彼らに渡すように説得を頼む。スズキから蝶々の切なる想いを聞いたピンカートンは深く心を痛め、耐えきれず立ち去る。起きてきた蝶々は、米国人女性の姿を庭に見つけ、全てを悟る。子供を引き取るという妻ケイトの申し出に、彼が迎えに来るならと言う。一人になった蝶々は「名誉のために生きること。かなわざりし者は、名誉のために死なん」という父親の形見の短刀に刻まれた銘を読み上げ、短刀を…。その時、息子が駆け寄ってくる。抱きしめながら劇的な別れの言葉をかけ、永訣の礼をし遊びに行かせる。蝶々は、誇り高くあるべく、人生を自らの手で終える。